相続登記の内容や事務所ごとの報酬体系によるので、一概には言えません。
相談料がかかる事務所、初回相談は無料の事務所、前払いの事務所、後払いの事務所、着手金をとる場合、とらない場合など、報酬については事務所によって様々です。
ですが、これまで司法書士として相続登記を受任してきた中で、費用がかかりやすいケースもあれば、費用が比較的抑えられるケースもあります。
この記事では、相続登記を司法書士に依頼したときの費用について解説します。
報酬と実費の合計を支払う
まず、司法書士事務所に依頼をするときに覚えておいてほしいことがあります。
それは、依頼者は事務所に対して、報酬と実費の合計を支払うということです。
実費には、書類の取得にかかる手数料や、登記申請時に納付する税金(登録免許税)があります。
登録免許税等は、司法書士に依頼しなくても発生する費用ですので、実費の部分は一旦置いておいて、純粋な報酬部分について話を進めていきます。

報酬体系の大きな違い
司法書士に相続登記を依頼する際の報酬については、定額報酬のパッケージを提供している事務所と、内容に応じて基本料金に加算する報酬体系の事務所があります。
定額報酬制のメリット・デメリット
メリット
- シンプルでわかりやすい
- 費用が後になって加算される心配がない
デメリット
- 内容にかかわらず一定の金額を支払う必要がある
- 簡単な内容の場合は払い過ぎとなる可能性がある
加算報酬制のメリット・デメリット
メリット
- 必要な分だけの費用を支払うことができる
- 簡単な内容の場合は費用を抑えられる可能性がある
デメリット
- 複雑な案件ほど高額になりやすい
- 加算される仕組みがわかりにくい
どちらがいいのか
一長一短がありますので、どちらがいいということはありません。
一定の内容までであれば廉価な定額制で、複雑な内容については加算するような体系をとっている事務所であれば、双方のメリットを生かしつつ、デメリットを抑えることができるのではないかと思います。
費用だけが唯一絶対の基準ではありませんので、相談したときに丁寧に説明してくれるか、信頼できる事務所なのかという点も重視して決めるのがおすすめです。
相続登記の内容による違いは?
相続登記の内容による違いについて、どのような場合に費用が抑えられるのか、費用がかかりやすいのかについて(あくまで参考程度ですが)個人的な経験をもとにまとめてみました。
費用が抑えられるケース
司法書士への報酬が比較的低く抑えられるのは、以下のような場合です。
- 不動産の数が少ない
ex.)相続する不動産が自宅のみである場合 - 不動産の価格が低い
ex.)自宅が築40年の木造建物である場合 - 相続人の数が少ない
ex.)相続人が子一人のみである場合 - 遺産分割協議書を作成しない
ex.)法定相続で登記する場合 - 必要書類の取得を依頼しない
ex.)戸籍謄本を自分で集める場合
費用が高くなるケース
司法書士への報酬が高くなるのは、以下のような場合です。
- 不動産の数が多い
ex.)他管轄に相続登記を申請する場合 - 不動産の価格が高い
ex.)都心の戸建てである場合 - 相続人の数が多い
ex.)兄弟相続で代襲相続も発生している場合 - 相続関係が複雑
ex.)半血の兄弟が相続人となる場合 - 遺産分割協議書を作成する
ex.)相続人の一名が不動産を取得する場合 - 必要書類の取得を依頼する
ex.)書類の取得から丸投げしたい場合
司法書士の仕事はとにかく「確認」が重要です。
不動産や相続人の数、書類の数が増えるとその分確認しなければならない量が増え、工数も掛かりますし、司法書士が負うリスクも大きくなります。
必要書類の取得については、オプションになっている事務所が多いと思いますので、費用を少しでも抑えたい方は、自分で集めるのがおすすめです。
(おまけ)結局費用が高くなるケース
半分余談みたいな話になるのですが、結局費用が高くなるケースというのもあります。
どういうことかというと、費用を抑えようとして自分でいろいろ集めたり、作ってみたりしたけれど、実は全然足りてなかったり作り直しが必要な場合は、費用を抑える効果は大きくありませんよという話です。
司法書士の立場からすると、自分が作っていない書類は結構怖かったりします。自分が作っていないからこそより注意深く確認をします。
この「確認」という工程は変わらない(むしろ増える?)ため、司法書士に依頼する前に自分で書類を揃えておけば必ず費用が安くなるということはありません。
また、せっかく作った書類(例えば、遺産分割協議書)も作り直しが必要になればただの骨折り損です。
残念ですが、そのためにかけた時間や労力は無駄になってしまいます。
初めから依頼しておけばよかったということにもなりかねません。
まとめ
相続登記を司法書士に依頼するときの報酬は、事務所によって異なりますが、確認するポイントが増えると高くなる傾向があります。
必要書類を自分で取得するなどの工夫によって、費用を抑えることが可能です。
また、複数の司法書士事務所に見積もりを依頼することで、少しでも安い費用で相続登記を済ませることができます。
ただし、価格だけにこだわるのではなく、相談したときに丁寧に説明してくれるか、信頼できる事務所なのかという点を重視して決める方が結果的に満足が得られるのではないかと思います。
相続登記の司法書士費用について考えるときに、この記事が参考になれば幸いです。
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