相続するってどういうこと?

A. 相続とは、被相続人の財産上の地位を引き継ぐことです。

相続が開始すると、預貯金や株式、不動産等の相続手続を行わなければなりません。

なんとなく必要だから行っているこれらの相続手続ですが、「相続」というものについて正しく理解をしている方はあまり多くありません。

そもそも、相続とは何なのでしょうか。相続が開始すると法律上、どのようなことが起きるのでしょうか。

相続によって何が起こるのかを理解していなければ、後になって大きなトラブルに巻き込まれてしまうおそれもあります。この記事では、相続の基本について簡単に説明します。

目次

相続が開始するときは?

相続が開始するのは、以下のときです。

  • 被相続人が死亡したとき
  • 失踪宣告がされたとき

失踪宣告は、実際は生存していたとしても、生死不明の状態が一定期間継続した際に死亡したとみなされる制度です。

反対に、医学的に「脳死」と判定された状態でも相続は開始しません。

何を相続するの?

相続というと、預貯金や不動産を相続するイメージですが、それだけではありません。

相続人は、被相続人の「財産上の地位」を承継します。

引き継ぐ財産の中には、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産(借金等)も含まれます。

一部だけ受け取って、後は放棄するといったことは認められていません。

対象となるもの

相続の対象となるのは、例えば以下のようなものがあります。

  • 預貯金(現金)
  • 不動産
  • 株式等の有価証券
  • 自動車
  • 家具や貴金属等の動産
  • 借地権、借家権
  • 貸金債権等の債権
  • 裁判上の地位
  • 損害賠償責任
  • 借金

対象とならないもの

一方、被相続人の一身専属権(その人に固有の権利)は相続されません。

一身専属権には、以下のようなものがあります。

  • 扶養請求権
  • 配偶者居住権
  • 慰謝料請求権
  • 財産分与請求権
  • 雇用契約上の地位

慰謝料請求権等も給付請求権として具体的な金額が確定していた場合は相続の対象となります。

相続するかは選べないの?

ある人が亡くなると、当然に相続が開始します。

相続人は、何らの手続を要することなく、亡くなった瞬間自動的に相続します。

ですが、本当に相続するかどうかを各相続人の判断で事後的に選択できるようになっており、相続を承認するか、それとも放棄するのかを検討するための熟慮期間(3カ月)が設けられています。

相続をしない場合に選択できるのが「相続放棄」という家庭裁判所の手続です。

相続放棄の申述が受理されると、はじめから相続人ではなかったことになります。

手続を行うには相続が開始している必要があって、事前に(亡くなる前に)行うことは認められていません。

相続放棄は、状況次第では利用できない場合がある点に注意が必要です。

詳しくは別記事にて説明しますので、そちらをご覧ください。

一部だけ放棄できる?

相続財産を一部だけ放棄する方法はありません。

例えば、自宅不動産と預貯金だけ相続して、遠方にある山林だけ放棄する等といったことはできません。

ですが、一定の条件を満たせば、相続土地国庫帰属制度を利用できます。

相続土地国庫帰属制度は、管理不全土地や所有者不明土地の問題を予防するため、令和5年4月に開始されました。

要件に適合すれば、負担金を納めて土地を国庫に帰属させることにより手放すことができます。

詳しくは別記事にて説明しますので、そちらをご覧ください。

遺産分割協議は必要?

複数の相続人がいる場合、相続財産は相続人全員の共有状態になります。

そのため、どの財産を誰が取得するのかという具体的な内容について決定するには、遺産分割が必要となります。

遺産分割には、以下のような方法があります。

  • 指定分割
  • 協議分割
  • 審判分割

詳しくは別の記事にて説明しますので、そちらをご覧ください。

債権・債務については、原則として、遺産分割を待つことなく相続分にしたがって分割承継されます。

まとめ

相続とは、被相続人の財産上の地位を承継することです。

一身専属権を除くほとんどの権利・義務をその地位ごとそのまま受け継ぐイメージです。

相続するかどうかは、一定の期間内に家庭裁判所の手続をすることで選択可能ですが、一部の財産だけを取得して後は放棄するといったことは認められていません。

また、相続放棄は後になって撤回することができませんので、熟慮期間内にしっかりと相続財産の調査を行うことが重要です。

司法書士は、相続関係の調査はもちろん、相続財産の調査をお手伝いすることも可能です。相続登記の依頼に際して、ご相談してみてください。

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